どきどきうどん(どぎどぎうどん)…その起源と、その名の由来
現在、北九州(主に小倉北・南区)には、戦後まもない頃より販売されておりました「どきどきうどん(どぎどぎうどん)」という独特の肉うどんがございます。これは、サイコロステーキのような牛肉(ほほ肉・一部スジ肉)がゴロゴロと入った、他地域にはあまり見られない、とても珍しい肉うどんでございます。
また、この肉うどんを提供する店舗ではほとんどの店が、『肉うどん以外のメニューは置いていない』という特殊な経営形態をとっている個人店舗(商店)でもあります。また、個人商店経営であることからも、大通り等に面した店はほとんどなく、大体の店舗は裏路地や民家(店舗兼住宅)で運営しておりますので、正に、現在では 『 幻の肉うどん 』 に近い状態でございます。
(近隣住民以外の他地域の方々は、ほとんどその存在を知りません。)
この「どきどきうどん(どぎどぎうどん)」は、清水ハナヨさんという女性(故人)が戦中夫を亡くし、一人息子を抱えて、路頭に迷っていた時、何がしかの収入を得るための商売を始めようと思案し、昭和25(1950)年、およそ3坪程のスペースを間借りし、営業を開始させようやく完成した名物肉うどんです。いわゆる「ほったて小屋」のような小さなお店でした。
実は戦後当時、牛の頭肉(ほほ肉を含む)は、食肉加工センター(当時屠殺所と呼ばれていた)では、廃棄処分する肉であったそうです。今でこそ「牛ほほ肉」といえば高級部位の一つですが、当時、皮膚に近い頭肉は牛毛の処理を施すのが大変だったそうで、廃棄される原因となっていたそうです。
そこで、ハナヨさんはその牛の頭肉を無償で譲り受け、肉うどんとして販売し始めたそうです。
当時、素うどんが1杯10円だったそうで、1杯15円で売れる肉うどんは、ハナヨさんにとって生活の一助となっていきました・・・・・。
この『どきどきうどん(どぎどぎうどん)』という名称も、それを食していたお客様方から、自然発生的に言われるようになった名称でございます。
戦後、まだ日本が疲弊し貧しかった頃、譲り受けてきた「牛ほほ肉の脂身」を捨てる事が、どうしてももったいなく感じたハナヨさんは、その全てを一緒に煮込んで提供していました。
そのため、出汁の表面に大量の脂が浮き(今で言う『背脂ラーメン』のような状態)大変どぎつく、うどんの出汁が「ギトギトしてる」というのを、一人のお客様が冗談めかしに「どぎどぎしとるのぉ〜」と言った事がその由来で、そこから転じ「 どぎどぎうどん → どきどきうどん 」となっていきました。
現在は、脂身を程良く処理しておりますので、ギトギト感はほとんどないものもあります。(もちろんお店によってそれぞれ趣や個性は異なります。) しかし、コラーゲン成分がたっぷり含まれているせいか、出汁は冷めると「煮凝り」のようにプリン状になります。
このお肉や煮凝りを肴に、お酒を召し上がる方もいらっしゃいます。
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『どきどきうどん及びどぎどぎうどん』という名称は現在、ハナヨさんのお身内の方が商標権を保有されています。
弊社は、商標権者様より、「地域発展・地域貢献のためなら」と商標の使用許諾を頂きました。
同じ志を持つ、どきどきうどん(どぎどぎうどん)販売店様がいらっしゃれば、是非とも弊社にご連絡下さい。共に地元北九州・福岡の発展の為に頑張りましょう!
どきどきうどん株式会社 内 どきどきうどん保存会 事務局
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